2010年01月30日
日本ではスポーツで金は稼ぎにくい?その③
3日連続となったこのネタの続き。
さて、英国のエリート層から発生したアマチュアイズムと、庶民から発生したプロ。その概念が文化対立が少なかった東アジア・・特に日本ではスポーツの概念が発生しにくかったのは前回書いた通り。
その続きをどうぞ。
歪なスポーツ概念の日本。
しかし敗戦によってスポーツの概念が日本に次々と入ってくる。この中で会社の知名度向上と社員の福利厚生を目的とした企業スポーツが生まれていく。企業スポーツは会社の意向が全てを左右する。一般の協力・地域密着も必須でない。ビジネスでないのなら金銭を生み出す仕組みは必要ない。
しかし、時代は進み様々な価値観が流入し日本でも徐々に日本スポーツのありかたが歪だぞっと皆が気付き始めた。更に以前と違って社員の士気高揚という意味もなくなった企業スポーツは単なる不採算部門となった。当然だ、ビジネスでないから金を生む仕組みを作ってこなかったのだから。
こういった中で「スポーツで金を稼ぐ」を目指して作られたのが「J」だ。Jはそれまでの不人気スポーツで資金難だった経験を逆手にとってマネジメントを導入した。それがJの100年構想であり、地域密着だ。
それは理想論的で、マネジメントに失敗した事も多かったが、何とかかんとか・・「金を稼げる可能性はあるかもしれない」位までの仕組みを作り出した。つまり、日本のサッカーで「Jだけが金を稼げる可能性がある」かもしれないのだ。それは「J以外は金を稼げる可能性が無い」事を同時に意味する。
例えば・・JFLを見て欲しい。
入会金や年会費も取りながら、試合日程は「金が稼げそう」より「全国的にやりやすそう」だ。Jでは早めに翌年の経営戦略を立てやすいよう12月には来期日程を公表する。早い方が準備や計画を立てるのに有利だからだ。
JFLでは12月に日程の予定は出ているのに、2月まで公表は出来ない。
(今年は各チームがせめて1月中に出すべきと交渉して第2節まで発表された)
だからイベントの準備も募集もできやしない。チームによって運営レベルはバラバラ。地元以外のマスコミは取り上げず、ネット中継のハードルも高い。JFLの悪口ではない。J3を作れとかも思っていない。J以外に金を稼ぐシステムの無い事を証明しているだけだ。
Jを目指すチームはビジネスが必要なのに、金を極端に稼ぎにくいシステムのリーグで戦っている。ここに矛盾があるのだ。
企業チームにとっても金を生み出さないリーグに在籍するには会社の手厚い保護が必要となる。会社に損してもらうしかない。
金を生まないシステムの中で発展してきた企業スポーツが「社内士気向上」や「福利厚生」といった目的を無くし、単なる不採算部門でしかない今、存続は会社の善意に頼るしかない。善意である以上・・いつ「やめました」となっても不思議はないのだ。
日本のスポーツは学校スポーツと企業スポーツが担ってきた。この2つはまだ日本にとって重要な要素を占める。今、本当に必要なのは企業スポーツが会社の善意に依らないで存続出来る・・自助努力が金銭を生み出す可能性のあるリーグの存在だ。
市・県・地域・JFL・・選手や所有会社の負担を少しでも軽くして、長く、安定してフットボールの出来る環境へ。J創設に次ぐ、新しい日本サッカーの改革が求められいる。
少なくとも犬飼とかいう浦和万歳主義の爺さんが散々否定されたのに・・蒸し返しているシーズン移行に予算やら時間やらを使う暇があるなら、お前は他にやる事が山積みだよと。
ワールドカップを単独招致するのも大事だけれど、まずは足元の日本サッカー界の更なる構造転換が必要だろうと。
そんな事を西の果てに住んでいるもの好きは毎晩考えるのだ。