2015年06月15日
2015年 J2第18節 長崎vs.磐田 ~~実を取るか?実はなるか?~
「先制ゴールを奪えましたが、攻守共に主導権を握ることができなかった。長崎の戦い方が徹底していたので、ボールをつなげず、連動してボールを奪いに行けない時間が80分くらい続いてしまった(ジュビロ磐田 名波監督)」。この言葉が試合内容の大半を示していると思う。

前半4分、ゴール斜め左の約30m弱の場所からのゴールに向かってくるFKを、GK大久保がこぼし、そのまま2試合連続得点中の櫻内に決められ失点。第12節の出場以来、無失点こそ無いが大きなミスが無かった大久保にとって痛恨のプレーと言って良い。この後は、試合を通じてビッグセーブで決定機を防ぎ、失点の影響を最小限に留めたが、GKは前に出た以上は絶対にボールを止めなければいけない。本人が最も悔しいことだろう。
この日の長崎はシステムを変更し、2列目の小林を黒木がケア。磐田のベースである宮崎、上田、小林のトライアングルを抑えに行く。攻撃では攻め残るアダイウトンや、前に上がってきたSBの裏をついてペースを掴んでいく。相手の裏を突く攻めは効果的で、磐田は64分にはアダイウトンを、82分には小林が交代。アダイウトンの出場時間64分で交代というのは彼のJリーグ出場時間で最短だ。更に長崎は、前半から何度か決定機を作っており、シュートがバーを叩くシーンも多かった。運不運で勝負事を語りたくはないが、それに左右された面は少なくない。
「普段のミーティングでは試合のキーワードを話すんですが、今日は、選手に、君たちでキーワードを作りなさいと言いました。その中で、何が大事かということを把握しながら、選手たちはよくプレーしたと思います」
「戦術的にもシステムを変えて相手にプレッシャーを与えることができたと思います。柔軟さをみせてくれた」
「今日の試合は、リーグ戦を戦う上で我々にとって得るものが大きい試合だった」
高木監督のコメントと同じように感じたサポーターも多かったのではないだろうか?
「磐田相手でもあれだけやれたことは、今後を戦う自信になるのでは?」
との問いに選手たちは「それだけやれたからこそ、勝てなくて悔しい」と答えた。代表戦で主力クラスが2人欠場しても、しっかりと戦い、試合を終えて選手たちが次々に「また明日、練習があるんで、そこで高めていくしかない」と口にする。J2で負けないチームからJ1昇格を本気で取りにいくチームへ・・まだトレーニングも試合も続く。
名誉や名声などうわべの体裁よりも、実質的な利益を得ることを選ぶほうが、賢明であるということを「名を捨てて実を取る」と言う。この試合で得た経験が実となるか・・その実が力へと変わるかどうか、はこれから次第だ。だが、この実が力になった時、それは実力と呼ばれるはずだ。

前半4分、ゴール斜め左の約30m弱の場所からのゴールに向かってくるFKを、GK大久保がこぼし、そのまま2試合連続得点中の櫻内に決められ失点。第12節の出場以来、無失点こそ無いが大きなミスが無かった大久保にとって痛恨のプレーと言って良い。この後は、試合を通じてビッグセーブで決定機を防ぎ、失点の影響を最小限に留めたが、GKは前に出た以上は絶対にボールを止めなければいけない。本人が最も悔しいことだろう。
この日の長崎はシステムを変更し、2列目の小林を黒木がケア。磐田のベースである宮崎、上田、小林のトライアングルを抑えに行く。攻撃では攻め残るアダイウトンや、前に上がってきたSBの裏をついてペースを掴んでいく。相手の裏を突く攻めは効果的で、磐田は64分にはアダイウトンを、82分には小林が交代。アダイウトンの出場時間64分で交代というのは彼のJリーグ出場時間で最短だ。更に長崎は、前半から何度か決定機を作っており、シュートがバーを叩くシーンも多かった。運不運で勝負事を語りたくはないが、それに左右された面は少なくない。
「普段のミーティングでは試合のキーワードを話すんですが、今日は、選手に、君たちでキーワードを作りなさいと言いました。その中で、何が大事かということを把握しながら、選手たちはよくプレーしたと思います」
「戦術的にもシステムを変えて相手にプレッシャーを与えることができたと思います。柔軟さをみせてくれた」
「今日の試合は、リーグ戦を戦う上で我々にとって得るものが大きい試合だった」
高木監督のコメントと同じように感じたサポーターも多かったのではないだろうか?
「磐田相手でもあれだけやれたことは、今後を戦う自信になるのでは?」
との問いに選手たちは「それだけやれたからこそ、勝てなくて悔しい」と答えた。代表戦で主力クラスが2人欠場しても、しっかりと戦い、試合を終えて選手たちが次々に「また明日、練習があるんで、そこで高めていくしかない」と口にする。J2で負けないチームからJ1昇格を本気で取りにいくチームへ・・まだトレーニングも試合も続く。
名誉や名声などうわべの体裁よりも、実質的な利益を得ることを選ぶほうが、賢明であるということを「名を捨てて実を取る」と言う。この試合で得た経験が実となるか・・その実が力へと変わるかどうか、はこれから次第だ。だが、この実が力になった時、それは実力と呼ばれるはずだ。
2015年06月10日
熊本での食~分かち合う苦労の味は~
熊本戦後は取材などを終わらせたあと、熊本の知人たちに伴われ夕飯をいただくことになった。行き先はロアッソ熊本の選手やサポーターにとってのソウルフードと言って良いほどに愛され・・他県のサポーターでも知る人ぞ知る・・「キッチンママ」だ。もちろん、試合に敗れ切歯扼腕している身であり、おいそれと敵地で食を取るような真似はしない僕だ。だが、フと古の武将の逸話が頭をかすめる。
中国史上屈指の名将として知られる「岳飛」は戦場において、兵士と同じ食事を常にとり、戦場の苦労を分かち合ったという。元ロアッソに所属する高橋祐太郎君も食べたであろうキッチンママ。やはり苦労を分かち合うためには食さねばなるまい。全てはチーム・・クラブのためだ。
キッチンママはお店のクローズも検討されているそうで、最近は店を開けないことも多いそうなのだが、岳飛に共感する僕のために友人たちが予約を入れてくれる。注文したのはデジカルビチョンゴルと白ご飯(大盛)。そして、かぶりで唐揚げだ。

うむ!もっと早くから苦労を分かち合うべきだった!出来れば週に1回くらいのペースで苦労を分かち合いたい。若いときの苦労は買ってでもしろと言うが、こういう苦労なら高値で買い取ろう。この苦労がまた絶妙な辛さでご飯がすすむ。なるほど、これが苦労の味か・・。
良い感じにくつろいだ僕は21:00頃に熊本を後にした。
帰り道は(選手と苦労を分かち合うために長崎に飲食店を出そうか・・)などと考えてしまう。
熊本がキッチンママなら、長崎は・・リビングダディか?いや、キッチンとママはセットなのだからダディとセットの場所が良いだろう。父親がよくいる場所は・・繁華街、会社・・キャバクラダディ、カラオケダディ、コーポーレートダディ・・・。どの名前もパッとしないどころか、世知辛い中年サラリーマンの悲哀を感じる。そんなダディの苦労は嫌だな・・と思う。
翌朝仕事へ向かうコーポレートダディな僕は朝からかぶりの唐揚げを食す。そんな熊本帰り。
中国史上屈指の名将として知られる「岳飛」は戦場において、兵士と同じ食事を常にとり、戦場の苦労を分かち合ったという。元ロアッソに所属する高橋祐太郎君も食べたであろうキッチンママ。やはり苦労を分かち合うためには食さねばなるまい。全てはチーム・・クラブのためだ。
キッチンママはお店のクローズも検討されているそうで、最近は店を開けないことも多いそうなのだが、岳飛に共感する僕のために友人たちが予約を入れてくれる。注文したのはデジカルビチョンゴルと白ご飯(大盛)。そして、かぶりで唐揚げだ。

うむ!もっと早くから苦労を分かち合うべきだった!出来れば週に1回くらいのペースで苦労を分かち合いたい。若いときの苦労は買ってでもしろと言うが、こういう苦労なら高値で買い取ろう。この苦労がまた絶妙な辛さでご飯がすすむ。なるほど、これが苦労の味か・・。
良い感じにくつろいだ僕は21:00頃に熊本を後にした。
帰り道は(選手と苦労を分かち合うために長崎に飲食店を出そうか・・)などと考えてしまう。
熊本がキッチンママなら、長崎は・・リビングダディか?いや、キッチンとママはセットなのだからダディとセットの場所が良いだろう。父親がよくいる場所は・・繁華街、会社・・キャバクラダディ、カラオケダディ、コーポーレートダディ・・・。どの名前もパッとしないどころか、世知辛い中年サラリーマンの悲哀を感じる。そんなダディの苦労は嫌だな・・と思う。
翌朝仕事へ向かうコーポレートダディな僕は朝からかぶりの唐揚げを食す。そんな熊本帰り。
2015年06月08日
2015年J2第17節 熊本vs.長崎 ~次へ向かうための1ピース~
土曜に行われた熊本との試合は10年ぶりの水前寺での直接対決。当時の熊本のチーム名はロッソ熊本。現在はクラブの代表取締役である池谷氏が監督を務め、長崎は現取締役の岩本専務が監督を務めていた。当時の主力選手だった熊本の熊谷氏も、長崎の渉もそれぞれがクラブスタッフとなっている。時の流れを感じるものだ。

試合は0-1で敗れた。内容については他も書いているので、僕が今更書く気はない。個人的に敗れた理由は大きな理由が一つというのではなく、沢山の理由が束になって負の流れになったことが大きいと感じる。
例えば、劣悪なピッチに慎重になりすぎたのもその一つで、選手は「シンプルにプレーしようと思った」「(ピッチの悪いところでは)ボールをあまり地面に落とさないようプレーしようと思った」・・という風に各自で考えてプレーしたのだが、それが時にプレーの制約となったり、周囲とのズレになったりした。「いつもならミスしない所でミスがあったが、自分はいつもと同じプレーをしてしまった。自分はそれをフォローするプレーを気掛けていかないといけなかった」と試合後に語った選手の言葉は・・まさにこの試合でやるべきことだったと思う。
「受け身の反対語は捨て身。ホーム未勝利の熊本は捨て身の覚悟で来る。受け身に回ったらやられるぞ」
熊本戦で監督は選手にそう語った通りの展開となってしまった。これまでも下位に敗れた時や勝てる試合を引き分けた時にも、監督はメンタル面を指摘していた。「受けて立つつもりで戦って勝てるほどの強さにはまだ足りない」。もちろん、長崎に奢っている選手や浮かれている選手はいない。受けて立とうなんて最初から思う選手もいない。だが、経験が足りないためか時折、そういうメンタルに追い込まれてしまうことがあるのも事実だ。
今がJ1に昇格できる強さを持ったチームであるがどうかの分岐点の一つなのだと思う。単にチーム力が高くなった、戦術が浸透してきた、選手同士の連携が向上したというだけでなく、J1という更に厳しい世界を戦えるメンタリティーが長崎にあるか?・・そこが問われているのだろう。
ミックスゾーンには、怒りと悔しさと不甲斐なさの混ざった気持ちを、必死に整理しようという選手たちが大勢いた。
「気迫や闘争心・・そういったものをもっと出していかないと(古部健太)」
「チャンスは作れている。あとは何が何でもゴールを取ってやるという気持ちを1ランク上に持っていけるように・・それでも得点できないのなら、もっとチャンスを増やす。取れるまでそれを繰り返してでもやっていく(前田悠佑)」
このメンタルについては、技術、戦術などを高めないままメンタルに全てを押し付ける安易な根性論や精神論を言っているのではない。監督や選手が求めているのはやるべきトレーニングをやって、実力をつけたからこそ、今必要なメンタルの強さだ。肉体的にも精神的にもし理論的に、実践的にしっかりとトレーニングをして、強化してきた今の長崎だからこそ、メンタルの強さが最後のパーツになれる。
チーム作りはジグゾーパズルのようなもので、技術、連携、戦術、体力などのピースを当てはめて絵を作っていく。今、目の前にあと1ピースで完成する絵がある。そこにはめるべき「メンタルの強さ」というピースを見つけて完成させること。それが出来た時に長崎はもう1ランク上のパズルを始めることができるのだろう。

試合は0-1で敗れた。内容については他も書いているので、僕が今更書く気はない。個人的に敗れた理由は大きな理由が一つというのではなく、沢山の理由が束になって負の流れになったことが大きいと感じる。
例えば、劣悪なピッチに慎重になりすぎたのもその一つで、選手は「シンプルにプレーしようと思った」「(ピッチの悪いところでは)ボールをあまり地面に落とさないようプレーしようと思った」・・という風に各自で考えてプレーしたのだが、それが時にプレーの制約となったり、周囲とのズレになったりした。「いつもならミスしない所でミスがあったが、自分はいつもと同じプレーをしてしまった。自分はそれをフォローするプレーを気掛けていかないといけなかった」と試合後に語った選手の言葉は・・まさにこの試合でやるべきことだったと思う。
「受け身の反対語は捨て身。ホーム未勝利の熊本は捨て身の覚悟で来る。受け身に回ったらやられるぞ」
熊本戦で監督は選手にそう語った通りの展開となってしまった。これまでも下位に敗れた時や勝てる試合を引き分けた時にも、監督はメンタル面を指摘していた。「受けて立つつもりで戦って勝てるほどの強さにはまだ足りない」。もちろん、長崎に奢っている選手や浮かれている選手はいない。受けて立とうなんて最初から思う選手もいない。だが、経験が足りないためか時折、そういうメンタルに追い込まれてしまうことがあるのも事実だ。
今がJ1に昇格できる強さを持ったチームであるがどうかの分岐点の一つなのだと思う。単にチーム力が高くなった、戦術が浸透してきた、選手同士の連携が向上したというだけでなく、J1という更に厳しい世界を戦えるメンタリティーが長崎にあるか?・・そこが問われているのだろう。
ミックスゾーンには、怒りと悔しさと不甲斐なさの混ざった気持ちを、必死に整理しようという選手たちが大勢いた。
「気迫や闘争心・・そういったものをもっと出していかないと(古部健太)」
「チャンスは作れている。あとは何が何でもゴールを取ってやるという気持ちを1ランク上に持っていけるように・・それでも得点できないのなら、もっとチャンスを増やす。取れるまでそれを繰り返してでもやっていく(前田悠佑)」
このメンタルについては、技術、戦術などを高めないままメンタルに全てを押し付ける安易な根性論や精神論を言っているのではない。監督や選手が求めているのはやるべきトレーニングをやって、実力をつけたからこそ、今必要なメンタルの強さだ。肉体的にも精神的にもし理論的に、実践的にしっかりとトレーニングをして、強化してきた今の長崎だからこそ、メンタルの強さが最後のパーツになれる。
チーム作りはジグゾーパズルのようなもので、技術、連携、戦術、体力などのピースを当てはめて絵を作っていく。今、目の前にあと1ピースで完成する絵がある。そこにはめるべき「メンタルの強さ」というピースを見つけて完成させること。それが出来た時に長崎はもう1ランク上のパズルを始めることができるのだろう。