2008年12月11日

ありがとう東川昌典、さらば東川サッカー④(ラスト)

地域決勝前になってもチーム力は上がらなかった。

地域決勝後に複数の関係者がKYU終了後~地域決勝1ヶ月前の時期を指して
「昇格出来ると思える状態じゃなかった」「崩壊寸前だった」という有様。



そして、大会1ヶ月前の広島遠征の時に、それまで表立って練習場で指示したりしなかったある人物が指示を出し始める。そこでそれまでのサッカーと違うサッカーを始め「これで行く!」とその人物が宣言する。

高知へ向かう直前の練習が終了しクールダウンを始める選手。
守備の要であるある選手は監督ではなく、その人物の元に駆け寄って戦術の確認をし指示を受ける。それが終ると別の選手が、その人物の元へ行く。



恐らく・・この時点で指揮権は二分されていたのだろうと思う。
06年のように全権ではなく分権と言うべきか・・試合中の交代やメンバー等は東川さんに委ねられていたが、「これで行く!」とされたサッカーは東川さんがシーズンを掛けて取り組んでいたサッカーより随分とシンプルになっていた。



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大雑把に解説すると上の図が地域決勝の長崎の戦い方だ。
武男、元気はそれぞれ、守備寄り、攻撃寄りを担当した。
基本的にそれまでの細かくつないで相手を抜くより、縦、斜めに早いボールを入れて攻撃陣を走らせる戦い方。ここで元気のパスセンスが大きく物を言った。

武男が下がる分のカバーは竹村が行った。その為に左サイドの突破は試合を重ねる事に少なくなったが、アリがサイドに開いてカバーする。

右サイドはサイドアタックのスペシャリストである大塚がいる事で、攻撃に専念。
右サイドにスペースを作る為に洋は右に流れず、後ろか中央に位置する事が多かった。
アリが左に流れているので洋とポジションは被らない。

俺がアリをMVP級の活躍とした最大の根拠がこのカバーとバランスの取れた動きだった。
試合を重ねる事に特に一番プレッシャーの厳しいポジションの元気は動きがドンドン落ちていったが、それをカバーしていたのもアリだった。アリはボールを持たない時の動きが秀逸だったと思う。



武男を竹、元気をアリがそれぞれカバーして、武男、元気がチームのバランスをカバーする。相互補完の形が地域決勝長崎の姿。

この戦い方はシンプルな分、相手が研究してくれば対抗策は結構簡単でもあった。しかし、幸いな事に高知から石垣島まで例年以上に時間が無かった事で対戦相手も長崎への対策より自分達の準備に追われ問題にならなかった。



町田だけは一応、対策を打ち出していた。
てっきり、06年のように元気と武男さん(06年の時は裕哉)をマークしてくると思ったが、町田はプレスで来た。特に洋と元気に圧力を掛ける。武男さんは位置が深すぎてマークの必要なしと考えたのだろう。中央に構える洋が抑えられ、前線の攻撃の起点がなくなってしまった。この辺は戸塚という監督の修羅場経験だと思う。

そろそろ、この話題を〆る。



東川昌典という人は生粋のコーチだ。
技術指導は丁寧で細かくとても判りやすい。人柄も朴訥として真面目。
特殊で、難しい環境の長崎で東川氏は本当によく頑張ってくれたと思う。
愚痴をこぼすどころか感謝の姿勢を示す氏の人間性、方針を受け入れる謙虚さ、自己犠牲も厭わない姿勢は素晴らしかった。
本当に感謝している



だが、現時点で氏に上のリーグで指揮を取れる指揮能力は無い
それは、今年の長崎をつぶさに見て、色々な話を聞いてきた者なら異論はない筈だ。



V・ファーレン長崎は東川昌典という監督を指導者として正統に評価し、資質を生かすポジションに就けるべきだ。
Jリーグ昇格を目指すなら求められるライセンスはS級。継続性を考えればJFLからS級指導者に指揮を執ってもらった方が良い。
東川氏はA級。東川監督の長い育成経験を長崎へ還元する為に新規に創設されるであろうJrユースの監督を期待したい。



勘違いしないで欲しいが、俺は監督をファミリーの一員と思っている。
ファミリーだからこそ馴れ合うべきではない。



長崎にはサッカーをV・ファーレンをキチンと報道するマスコミが少ない。
Jリーグのように専門誌が「昇格の原因を探る」とか「低迷の原因」とか特集を組んではくれない。最も熱心な長崎新聞はどうしても事実の伝えるのが主にならざる得ないし、NIBも中々、時間をとって報道は出来ない。
だから、自分で見て、叫んでいかなくてはならないと思う。



この少ない報道下では
「東川監督来た→苦しんだけどKYU2位以内→JFL昇格」
の事実の羅列しか知られてない事が多い。
でも大事なのはこの矢印の間に何があったのか、何が起こったのか?だと思う。



八戸がゴールした。それは数字や記録だけ見れば今まで出番の無かった控えが出場してゴールしただけ。でも、どれだけ八戸が若い選手から慕われ、ボランティアの仕事もこなし、国体の練習で倒れ込む程走り、今年の地域決勝に限らず色んな地域にスカウティングに行き、06年のホーム開幕戦ではお祭り騒ぎの中で一人で他県にスカウティング
へ行ったか・・奥さんをして「家で仕事の愚痴はこぼすけど、サッカーの愚痴は言わない」という程、長崎の為に率先して働いてきたかをしれば・・それが単なるゴールでなく皆の涙を誘った意味が判る筈だ。



この記録や結果の間にある物を多くの人が知る事が、長崎を自分達のチームと思える一歩だと思う。だから、俺は俺の意見を言うし、語る。それが反感を買おうと構わない。



そして、俺は俺の見てきた「矢印」の一部をここに記載し、その上での俺の結論が、

「ありがとう、東川昌典、
 さらば、東川サッカー!」



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Posted by 藤原 裕久(KLM)  at 16:00 │Comments(5)V・V長崎

この記事へのコメント

このシリーズ、ずっと4日間読んでて思ったんですけど、丸ごと、東川監督に直接送ったらどうですか?ここに載せてるだけじゃもったいないですよ。

あ、それと、管理人さんは来季の監督は誰にやって欲しいんですか?誰か候補が居るからこういう事を書けるんですよね?

それにしても、ちゃんと結果を残してるのに、こうしていろいろ言われるなんて、東川監督もかわいそうですねぇ。
Posted by さくらふぶき at 2008年12月11日 18:51

結果を残しても残さなくても、監督業は厳しいですね。

正直今年一年監督と選手の関わりがどういったものかわかりませんが、結果を残して昇格させたのは事実。県民は内容どうこうよりもJFLに昇格してくれることを望んでいたはず。そういった意味では前指導陣よりも優秀。
もちろん選手間の信頼を得ながら結果を残せればいいのでしょうが、なかなか難しいですよね~。今後指導陣がどうなるのかわかりませんが、チームにとって良き方向になってくれることを願います(Nさんも辞めるとか?)。


目標に大村航空基地が九州リーグ入ればすばらしいと書いてありますが、現実的には無理ではないでしょうか。彼らの本業は公務員。サッカーのことで仕事の時間に融通は利かないと思います。当事者に以前聞いたことがありますが、訓練や仕事の都合で九州リーグ参加は厳しいだろうと聞きました。重工みたいにサッカーに融通が利けばいいですが、航空隊の本業はあくまでも公務員です。融通が利くとは到底思えません。
Posted by アンリ at 2008年12月11日 20:56

「長崎」というチームは,たとえ選手やフロントが変わっても,VVNというチームはその地域に生きる自分らにとって永遠の存在です。だから,今年一緒に戦ってくれた監督やコーチや選手やフロントには,心からお礼を言いたいです。
そして,試合と試合の間にあった様々なことを伝えてくれるヒロさんの文章にもお礼を言いたいです。長崎のためになることだからです。
自分は東川監督にも直接お礼の手紙を出しました。丁寧な返信をいただきました。
VVNに関わるみんなに取ってよりよい09シーズンになるように祈っています。
Posted by koh at 2008年12月11日 22:04

ひろさんを批判してる人達は「結果」以外に何も挙げませんよね?内容や具体例は?

ひろさんはこの連載の最初に「結果」を最大限評価して語り継ぐと書いてますね。東川さんを結果を出した監督とも書いてます。その上で内容などの具体例を挙げて書いてるので説得力あります。

こういうのをヒイキの引き倒しと言うんじゃないですか?
Posted by at 2008年12月12日 09:19

ひろさん、いつもブログ拝見させて頂いてます。
東川監督の長い育成経験を長崎へ還元する為に新規に創設されるであろうJrユースの監督を期待したい。との事でしたが息子が現在6年生なので来年度Jrユース創設の予定が有るか事務局に問い合わせた所来年度創設の予定は無いとの返答でした。
Posted by A・S・M at 2008年12月17日 12:29
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