2014年08月04日

2014 J2第25節 長崎vs.岐阜のこと・・そして伝えたいこと

 日曜日の岐阜戦。
前半から長崎は高いDFラインと前からの激しいプレスでボールを奪いって攻撃し岐阜を押し込んだ。
だが、FC岐阜GKの川口君は一旦調子を掴むと恐ろしいほどの集中力を発揮するタイプで、
この日がまさにそれにあたりタイミング良く飛び出してはゴールを守り続ける。
これにPKで先制点を与えたことで岐阜に落ち着きを与えてしまい、
ATには前がかりになった裏を取られ・・2失点目を喫し試合終了。

 試合後、ゴール裏へチームが挨拶に行った時、高木監督がゴール裏に何かを話していた。
話した内容を間接的に聞きはしたが、直接聞いた訳ではないのでここに掲載は控える。
ただ、その後、ゴール裏はこの日一番と言って良いほどの高木琢也コールを送った。
試合後の会見で、監督に一連のゴール裏のやりとりを踏まえてどんな気持ちでコールを聞いていたか質問した。
監督の答えを要約すると、
「サポーターを喜ばせる事が出来なくて申し訳ない。その中でも声援を送ってくれるのは本当に有難い。
でも、自分らはプロなのだから、サポーターのそういう気持ちに甘えては申し訳ない。」(要約 了)

 プロには色んな物が求められる。結果、内容、魅せる・・その中にはファンを元気にするというものもある。
そのプロである自分たちがファンを励ませずに励まされるのは申し訳ないし、
プロなのだからサポーターを元気付けるような結果をださないと・・という気持ちがあるのだろう。

 取材の中で、チームがどれほど勝つために色んなものを賭けて集中して激しくせめぎ合っているか見ている。
そしてプロであるからこそ、誰よりも厳しくストイックに結果にこだわっている事も、
結果を厳しく問われる事を覚悟している事も・・そんな強いプロであろうとしている事も知っている。

 一方でゴール裏にはゴール裏なりの理念や考えがある。彼らは応援屋ではないので、
ある意味でアマチュア(ここで言うアマチュアとは金銭授受が無いという意味で意識などのことではない)だ。
具体的な対価を受け取らないアマチュアだからこそ、対価は自分の中の抽象的なものとなる。
それは「やり甲斐」や「勝利の満足感」や「周囲の仲間との連帯」などで・・。
その為にプロとは考え方で若干の差が生まれる事もあり、
クラブが求める応援と、サポーターがやりたい応援には若干の違いが生まれる事も多い。
その違いを認識して互いが自分の信じるものを高いレベルで成そうとするのが互恵であり互助だと思う。

 ゴール裏で応援を主導するウルトラナガサキは原則的に自チームにブーイングをしない。
応援としてのブーイングは高度な方法で、やり方一つ間違えれば色んなものを壊す事もある。
ブーイングが応援として成立するには強固な両者の信頼関係や高いプロ意識などが条件としてあり、
「金を払っているから言って良い」的なものでは成り立たない。
ウルトラは今年で10年目だが、ブーイングについては過去に何度も団体内で議論した。
当時のチーム事情などもあり、その時に出した結論は
自分のチームにブーイングするエネルギーがあるなら、もっと応援のクオリティを上げる事に使おう」だった。
その代わりに試合後、個人が自分の気持ちをチームにぶつけるのは自由とした。
団体としてではなく。個人として面と向かって言えということだ。

 勿論、この結論は当時のチーム事情やウルトラの歴史の中で出来上がったものなので、
スタンドにいる長崎のサポーター全員に強いるようなものでもないし、
ブーイングをやりたいなら必要と思った人がやればいい。
いつか、ウルトラも団体としてブーイングが当たり前に出来るような時代も来るかもしれない。

 ゴール裏に居た頃に何度も言ってきたことだが、サッカーの応援なんて90分死ぬ気で声出しても、
ピッチ上では選手に半歩足を出させるかどうか・・それが1試合に1回あるかないか程度の影響しかない。
「俺が勝たせる」・・当時はいつもそううそぶいていたが、それは心意気の話で、
ベンチからのコーチングの声なんかの方が遥かに影響力を持っている。

 でも、もしかしたらその数試合に1回選手の出す半歩が得点につながる・・失点を止めるかもしれない。
全力尽くしてそれだけの影響力と低確率だから、手を抜けば何の効果も無くなるし、
物凄くちっぽけな希望だからこそ、それに全力でしがみついた。全力じゃないとすぐ無くなる程度のものだから・・
それがゴール裏に居た頃に持った自分のプライドであり、誇りだった。
それは今も強くウルトラ内に残っていると思う。
だから、ゴール裏は万雷の高木琢也コールだったのだと思う。
チームもスタンドも悔しくない訳はない。みんな本当に悔しくて仕方ないだろう。

 この日はクラブが毎月1回必ずやっている定例会見の日で、原田武男U-18監督/トップチームコーチ
が率いたJリーグU-14選抜のゴシアカップの報告とアカデミーのついての会見があった。
原田監督はチーム創設の時に加入して以来、クラブの絶対的な柱であり続ける人だ。
2010年にプロを引退するが、フリューゲルス解散や長崎での昇格断念など通常では無い経験をしてきた。
「片足でも良いからもう一度だけJリーグに立ちたかった」
「今、Jリーグでプレイしている選手たちを・・羨ましいと思う気持ちがある」
引退後に話を聞くとそう答えている。

 原田監督が率いたU-18は昨年、選手が10名もおらず、出場する大会では大敗の連続。
だが、今年は、全国へあと一歩まで迫り、昨年大敗した相手も破ってみせた。
U-18県地域リーグBでも無敗で首位を走っている。
原田監督は「自分のサッカー人生でも初めてと言うほどの大敗もしたけれど、
その経験が自分たちにも選手たちにもあるから・・今があるのだと思います」と語った。

 会見で寺峰ユースダイレクターは「東京五輪の代表に一人は選手を送り出したい」と夢を語った。
3度JFL昇格に失敗した4年目のKYUリーグだった2008年、天皇杯予選の県選手権で三菱重工に敗れた時に、
「このチーム・・今年昇格しなきゃ潰れるかもしれないんだよ。潰さんように精一杯やるからさ、
腹立たしいやろうけど・・俺がそんな事言っちゃいけのやろうけど、あなた達の力が必要なんだよ。」
と言った岩本専務はその夢を・・会見場の後で静かに聞いていた。

 長崎は今日も雨が降っている。先週もずっと天気が良くない。今週も雨ばかりだと言う。
止まない雨は無いなんて書く気はない。でも、虹だとか肥沃な土だとか雨が作る物もある。
土から芽を出す花がとても美しく咲く事がある事や虹がかかるかもしれない事を僕らは知っている。
勿論、誤った道を通っているなら幾らでも声をあげる。抗議もする。批判もする。
だが、勝てない中でも展開してきたサッカーやチームの姿勢に対する評価が試合後の大声援を作ったし、
ゴール裏の10年の歴史が試合後に大声援をあげる道を選ばせたと思う。
苦しい時代が今ある希望を作った。

 ライターになろうが、観客になろうが、僕は今もそのちっぽけな希望を信じている。
人からバカにされようが、罵られようが、全力で自分が信じた希望にしがみつく。
それはクラブが出来た時からのプライドであり、誇りなのだ。
喜怒哀楽・・全てがクラブと共にある。悔しくて幸せで、悲しくて楽しくて、
寝ても覚めてもフットボールは僕らを夢中にさせる。


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Posted by 藤原 裕久(KLM)  at 18:50 │Comments(0)V・V長崎応援とか日記・コラム・つぶやき

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