2008年07月20日
国体③ 最終回
最後に長崎国体代表が採用した布陣をちょっと解説。
V・V長崎のもこういうの書きたいんだけどね・・ホントは。
別名、「アヤックスシステム」とも言われる3-4-3はトップが3枚いる事から非常に攻撃的な布陣と認識されている。
しかし、実際にこの布陣を攻撃的に機能させるには、全ての選手に攻守の切り替えのスピードと、運動量、そして前線に1人で状況を打開できる選手が必要となる。
その一方で3-4-3はリトリート(低い位置から守備を開始する事)した守備に適しているという面も持っている。
今回の長崎の国体代表は初戦がまんまホンダロックと言える宮崎代表であり、チーム作りに割ける時間も少なく、ある程度押し込まれる事も想定しながら、点を取って攻め勝つ事をチームの軸に据えた。
守備の構築には時間がかかる為に4バックより役割がハッキリしている3バックを採用した事、岩本監督が最も好み、得意とするサイド攻撃を前面に押し出す事からも3-4-3が最も都合よかった。
これが攻撃の際の基本の動き。
CFの平田を軸にしながら小田、佐藤らのサイドMFとウイングの鶉野、阿部(VVN)が連携してサイドを崩す。幸野屋は平田のフォローをしつつ2列目として押し上げながら時にCFを追い越して攻撃する。
ボランチの安部(重工)はバランスに気を使いながら、状況に応じてロングフィードを狙う。戦術眼と技術の安定する安部はこのポジションにうってつけ。
安部(重工)-平田を軸としてその繋ぎ役に幸野屋を配し、小田、阿部(VVN)、桑井らサイドを突破する事に長けた選手でサイド攻撃を展開する事を狙った。
サイドからの展開は大きく3種類。
サイドから一端平田にボールを当てるのが基本。
その後、サイドが中に切れ込んで行く攻撃と、サイドの深い位置にそのまま切れ込む攻撃と逆サイドに一気にサイドチェンジする形。
守備の基本の動きはこれ。
ここで最も重要になるのは小田、佐藤。2人は守備の時には一気にサイドバックの位置に下がり5バック、安部が下りてくれば6バックを作る。
この小田、佐藤のカバーにウイングが入り、安部のカバーに幸野屋が入る。
小田、佐藤の攻守の切替が、そのままチームの攻守の切り替えになる。
このポジションの大事さが判ると思う。
運動量は求められるが、短期決戦の大会である事を考えると守備、攻撃共に利に叶っていた。